219740 625x480 - 現代育児グッズで快適異世界育児生活4

小説

現代育児グッズで快適異世界育児生活4

第4話 新たな一歩とベビーフードと竜との出会い

「さて、早速人里を探すか」

クレールによって描かれたおねしょという名の世界地図の処理をあらかた終え、俺は現状を打破するためにスマホのマップ機能を展開する。
このマップによるとここからおよそ北西に20キロほど進んだところに青い点の反応が複数あるところがあり、小さいながらも人の住む場所があることが分かったので、そこまで行くことにする。
実はもっと大きな町と思われる場所もマップ上で見つけていたのだが、そこまで行くにはどうやらその村?を通りすぎ、更には山越えをしなければならないようなので徒歩で向かうには少々厳しい。

「持っていく荷物は厳選しないとな」

移動するにあたって、最低限の荷物は必要なので(主にオムツやら粉ミルクだが)それらを厳選していたのだがここで一つ問題に気が付いた。

「入れるためのバッグがないな」

この場所を拠点にしている分には車のトランクに積んで有ったので問題は無かったが、移動するとなるとバッグが必要になる。
そこで俺はスマホのネットショップ『IKUZIN』を起動し、何かいいものは無いかと探すことにした。
幸いバッグは結構種類が豊富にあり、所謂ママバッグを買う事にした。

「これなんかは良さそうだな」

選んだバッグは比較的デザインが大人しめの紺色の物だった。コレならば男性でも持ってて違和感はないだろう。
さっそく購入すると、やはり謎空間から段ボールに梱包されたバッグが目の前に届き早速開梱してせっせとオムツやらなにやらを詰めていく。

このバッグはなかなか使い勝手が良さそうだ。
なにより大量に荷物を収納でき、手持ちは勿論のこと肩掛けにしたりリュックの様にして背負う事も可能だ!そうしてあらかた荷物を詰め終わった俺は抱っこ紐を身体の前側に装着し、リュックを背負うと両手をフリーの状態にして準備がようやく完了した。

「よし、出発するぞ~クレール」
「だぁ!!」

偶然だろうが俺の声かけに対しクレールが返事をしたように思えた。

こうしてスマホのマップを確認しつつようやく出発した俺たちだったが、しばらく森の中を進むとやがてクレールとの出会いの場である円形に開けた場所に差し掛かる。
マップを見ながら周囲に危険が無いか確認しつつ恐る恐る近づくと、その円形に開けた場所の中央に俺にクレールを預けた鎧の男の物と思われる抜身の剣が突き刺さっており、その近くには鞘が転がっていた。

「やっぱりあのオッサンは・・・」

言いかけた言葉を飲み込み、俺はその剣を手にする。
地面から引き抜くと想像していたより重く、持ち上げているだけで腕がプルプルとしてくる。
身体の前にクレールを抱えたままでは振れないので、一度リュックとクレールを下ろし抱っこ紐を後ろに回してオンブをすることにした。

「よっ!はっ!おりゃ!!」

態勢を変えて改めて構えた剣を振ってみるが、どうやら俺に剣術の才能は無いらしい。
剣を振るというよりは剣の重さに振り回されてどうしても態勢が崩れる。

「これは使えないな」

ただ使えないながらも一応は振り回すことは可能なので、念のための護身用として持って行くことにした。
鞘を地面から拾い上げ、剣を納めると腰のベルトに無理やり括り付けて固定し地面に置いておいたバックを拾い上げ身に着ける。
このとき何の気なしに自分の姿を見下ろすとそこには世にも奇妙な恰好をした男がいた。
考えても見て欲しい、何の変哲もない濃い青のジーンズと白いパーカー、その上に黒いロングのコートを羽織った三十路手前の男が背中には赤ん坊、身体の前にはリュックを抱え腰には所謂ロングソードが括り付けられている姿は何ともヘンテコな姿だ。

「うん、紛れもない不審者だなw」
「キャッキャッ♪」

そうか、クレールもそう思うか。安心しろクレール、俺もそう思うから。
まぁ自分の恰好はさておき、あと1時間もすればクレールにミルクを飲ませないといけないだろうと思い、ミルクの準備をするべく目的地に向かいつつどこか腰を落ち着けられる場所を探す事にした。

円形の広場をあとにして、歩くこと1時間。
スマホを片手に相変わらずモンスターがいないかを警戒しながら歩いていると目の前には自力で登るには難しい高さの崖が現れた。
俺一人なら登れないこともないかもしれないが、荷物を抱え背中にはクレールがいるこの状況では、まかり間違って落下してもいけないので登るのを諦め迂回することにした。

幸いにも、この崖沿いに進めば人が通れそうな場所がマップには表示されていたので、そう時間もかからずこの崖の上に登れるだろう。
そう思い歩いている途中で一休みするにはちょうど良さそうな洞窟を見つけた。
最早条件反射的にマップで危険な生き物がいないか確認し、中に入るとそこは思いのほか広く十分に休憩が出来そうな空間が広がっていた。
洞窟の中なのに妙に明るいのはどうやら大きな穴が天井に空いており、そこから太陽の光が入り込んでいるようだった。

「さぁクレール、ミルク飲もうな」
「あぅ~」

クレールを抱っこ紐から下ろし、レジャーシートとクッションをひいた場所に寝かせた俺は、まずはシングルバーナーを取り出しお湯を沸かす準備をした。
お湯が沸騰するまでの間に、クレールのオムツを確認すると案の定大量のオシッコをしており、かなりの重さになっていた。

「こんな小さい体で随分大量にだすなぁ」
「ぶぅぅぅ!」

はいはいゴメンゴメン!小さいとはいえ女の子ですもんね!デリカシーに欠けましたw
この子は何となく俺の言っている事を理解しているような気がする。話し相手がいない俺の都合のいい妄想かもしれないが、話しかけて何らかのアクションが返ってくるだけ随分と気分が違うものだ。

そうしてオムツを替えていると程なくしてお湯が沸いたので手早くミルクを作り、覚ました後にクレールに飲ませていると、俺の腹から空腹を訴える音が情けなく響いて来た。

「腹減ったなぁ、俺も何か食べるか」

何かを食べるとはいってもバッグの中にはクレールのミルクやオムツ、お尻拭きのほかには何も入っていない。
最低限の荷物にするため、今使っているシングルバーナー等しか入れてきていない。
当然俺の食料になりそうなものは入れる隙間は無かったので何もないのだ。

「なんか俺でも食べれそうなものはっと・・・」

スマホのネットショッピングを起動し、ベビーフード関連の商品を見ていると、細切れのうどんの入った瓶のベビーフードが目に着いたのでそれを購入してみることにした。
そのほかにも甘い餡子が詰まった某菓子パンがモチーフのヒーローが袋に描かれたパンなどを見つけたのでそれらを購入した。

「いただきます」

相変わらずの謎空間から商品が届くと、早速俺は瓶詰の細切れのあんかけうどんを食べてみる。

「ーーー味が薄い」

恐らくベビーフード全般に言えるのだろうが、やはりベビーフードというだけあって塩分はかなりの控え目で食感も赤ちゃんが喉に詰まらせないようにしているのか、かなり柔らかい。

まぁ結論として言えるのは大人が食べても美味しくない!!赤ちゃんは味覚が敏感だというからこれでも十分に美味しく感じるのかもしれないが、濃い味に慣れてしまった大人にはやはり物足りない味付けだった。

「はぁ、ラーメン食いてぇ」

それも背油がこれでもかと浮いたようなギットギトのラーメンが食いたい。
現状ではそれを食べれる可能性は限りなく0に近い・・・というか0なのだが。
それでも取りあえず腹を満たそうと、先ほど買ったパンを食べようと手元に置いておいたパンにそちらを見ないまま手を伸ばすと、そこにあるはずのパンが無い事に気が付く。

「あれ?パンどこいった?」

そう言いながら辺りを見渡すと、少し離れた位置に寝かせたクレールの傍に謎の生物がいた。

「おわっ!なんだコイツ!?」

慌ててクレールを抱き上げてその謎生物から距離を取ると、改めて観察する。
その謎生物は一心不乱に俺が食べるはずだったパンの袋に頭を突っ込み中身を食べている。
突っ込んでいる頭はよく見えないが、大きさはクレールより少し大きい程度だがその体は真っ白でふわふわと柔らかそうな体毛で覆われており、背中と思われる場所には小さいながらもピコピコと動くこれまた真っ白な翼が激しく自己主張をしていた。

「キュイ?」

あらかたパンを食べつくしたのか袋に突っ込んでいた頭を持ち上げると不思議そうな泣き声をあげる謎生物。
頭をぶんぶんと振り、頭に被さったビニール袋をはずそうと必死に頭を振り続ける。

「キュイ?キュキュキュキュ~」

その動きはなんともコミカルで最初の驚きはどこへやら、なんとも微笑ましい姿だった。

「動くなよ~今とってやるからな」
「キュ~キュッ!」

俺が恐る恐る近づくと、意外にもその白い謎生物は大人しくなり俺が手を伸ばしても動こうとしなかった。
そのまま手を袋に近づけ、すっぽりとはまってしまっていたビニール袋を取るとそこにあらわれたのは・・・

「可愛い・・・じゃなかった、ドラゴン?」

袋の下から現れたその頭部は間違いなくドラゴンだった。
しかし、その顔は頭部に生えている角は別として一般的に想像するような猛々しいドラゴンのそれではなく、クリクリとした金色に輝く瞳をもったなんとも愛らしいドラゴンだった。

「キュキュキュ~♪」
「こらやめろって~」

袋を取ってあげたお礼のつもりなのか、微妙にパンくずを付けた口を俺の顔に近づけベロベロと舐めてきた。
ひとしきり俺の顔を舐めて満足したのか、白い小さなドラゴンはパタパタと小さな翼を羽ばたかせて飛び立つと俺の頭の上をくるくると飛び回り、やがて俺の頭にふわっと着陸した。

「おいおい、そこはお前の巣じゃないぞ?」
「キュッキュキュ~♪」

何が楽しいのか妙に機嫌の良さそうな鳴き声をあげながらも、俺の抗議は無視してそのまま俺の頭に乗っかったままリラックスムードになる子竜。

「まぁいっか、可愛いし」
「キュ~♪」

そうして驚いたのもつかの間、一転して和やかな空気を醸し出していると、その空気をぶち壊す音が聞こえてきた。

「グガァォォォォォォォォ!!!!!」

とてつもない音量の咆哮を響かせ、天井に空いた穴から、頭の上に乗った子竜とは比べ物にならないほどの大きさの真っ白い、正にこれぞドラゴンといった生物が舞い降りてきた。

目の前に降り立った巨大な真っ白いドラゴンは俺を視界に納めるなり、再度咆哮を俺に向かって浴びせかけてくる。
咆哮を浴びた俺は予測しなかった事態に、不甲斐なくも立ったまま気絶してしまったのだったーーー。


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